傷だらけの僕等
先生はあたしの様子を疑ってた。

当然だと思う。

だってあたし自身も挙動不審だと思うから。

気付かないわけがない。先生が。

でもあたしはなんとしても最後の嘘を突き通さなくちゃいけなかった。


「先生。」

「ん?なんだ?」

「ぎゅってしてくれる?」

「は?」

「今、ぎゅってしてほしい。」


これは嘘じゃなかった。

あたしがこんなことを言わなくても先生はいつだって抱きしめて寝てくれる。

だけど、今日は一秒でも長く先生のそばに居たかった。


「何…?突然…。」

困惑してる。無理もない。

「お願い。」


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