傷だらけの僕等
「ねぇ、先生。」

「あれ?まだ寝てない?」

「うん。
先生、もう一個、お願いがあるの。」

「なんだよ?」

「……キス…して。」

「はぁ?」

先生の体があたしから離れる。

「何言ってるか自分で分かってる?」

「うん。お願い。」

思い出にするから。
最後の思い出に。

先生の顔がだんだん近づいてくる。

あたしは目をつぶる。



……え……?


「おやすみのキス」

そう言って先生がキスしたのは唇にじゃなくておでこにだった。


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