傷だらけの僕等
慌てて部屋中を探す。

…どこにも居ない。





蘇る…記憶。

美智の記憶。

俺をあの頃に引き戻す。


「理沙子!?」


返事は無かった。

この部屋がひどく冷たく感じた。

それは彼女の温度が無くなってしまったことを示していた。


再び味わう喪失だった。

もう二度と、味わいたくないと思っていた喪失。

よりによって…

一番大切だと思ったそばから君を失うことになるなんて…


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