傷だらけの僕等
気持ち悪い笑みを浮かべて少しずつ近づいてくる。

悪寒が走る。

あたしはキッと睨む。


「そんなに怖い顔をするなよ。これから一生付き合っていくんだから。」

『一生』


それはどれくらい永い時間なのだろう。

それを考えるだけでぞっとした。


「先生にはお別れしてきたか?」


あたしは何も答えない。


「先生は簡単に手放しただろう?
お前なんか所詮ゴミだからな。」


もう何も感じない。

あたしは人じゃなくなった。

たった今、この瞬間から。

あたしはただのモノになるんだ。


「さて…シャワーでも浴びようかな。」


それは合図。

犯される合図。

あたしはそっと瞼を閉じた。

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