傷だらけの僕等
「あたしは…」

「うん。」

「先生のこと…。」

「うん。」


こんなに顔が近いから

一つ一つ

確かめるように聞くから

言ってしまいそうになる。

言いたくなる。



『あたしも先生のことが好き。』








先生があたしに嘘つくはずないって分かってる。

だからあたしに好きだって言ってくれた気持ちに嘘はない。

その「好き」が愛でも同情でも…

「好き」の気持ちはあるのだと…

先生の言葉だけは信じられる。


信じてるよ先生。

だから不幸になってほしくない。

あたしへの気持ちが単なる同情なら尚更。

あたしなんかの存在が先生の未来を阻んじゃいけない。

分かってる。

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