傷だらけの僕等
「先にお前の質問に答えてやる。」

そう言って先生はあたしを抱き寄せた。
いつもよりずっときつく。

でもそれが苦痛じゃない自分に嫌気がさす。

情けないくらい…
安心しきっている自分。
ずっとこうしていたいと思う自分。





「お前、俺の気持ちが同情だって言ったよな。」

「うん。言った。」

「同情…か……。
最初はそれに近かったかも…な。」

「え…?」

「あ、あくまで最初は、だけど。
つーか無理もない話だろ?
傷だらけの女の子が道端に落ちてたら同情くらいするって!!
始まりは確かにその気持ちからかもしれないよ。
だけど…
確かにそのときから…。」


先生が言葉を濁した。

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