傷だらけの僕等
ってこんなことしてる場合じゃなかった。

俺は彼女を腕の中から解放する。

ちょっと寂しそうな顔をする彼女。


「何?もしかして抱きしめたままのほうが良かった?」

「え?違うよ!!もう行こっ!!」

「んだよ素直じゃねーな。」

「もう知らない!!」


そういって彼女は靴を履き始めた。

いきなりそんな可愛くないことを言うからちょっと意地になってすっと彼女を持ち上げた。

「な…!!何するのっ?」

「え?何ってお姫様だっこだけど。
これも慣れっこだろ?」

「ちょ…下ろして!!
こんなの人に見られたら恥ずかしいし…」

「誰もいないって。
つーか下ろす気ないし。」


俺は彼女をお姫様だっこしたまま、駐車場に向かった。




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