傷だらけの僕等
午後はゆったりと近くのショッピングモールでブラブラした。

特に欲しいモノがあったわけではない。

というか…

俺の頭の中は別のことに意識が集中していた。




* * *


「美味しかったねあのパスタ。」

「ああ。あそこは学生時代から俺と真の行きつけの店だよ。」

「そうなんだ…。」


そう言ってまた視線を外に戻す理沙子。

そして異変に気付く。


「どこに向かってるの?
もう帰るんじゃ…。」

「帰るなんて俺、一言も言ってないけど?」

「だってもう時間も結構遅いし…。」

「次の場所がラストだから。」


そう。
次の場所で言うんだ。

この想いを形にするために。

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