傷だらけの僕等
* * *


なんだかその優しい声に安心したのか、気が付いたら次の日の朝だった。
やたら光が眩しい。

どうやらあたしはあの後かなりの時間眠ったらしい。

起きてみて、服を着ていた自分に驚いた。
それに、思い起こしてみればあたしは雨に打たれてたはずなのに、昨日起きた時には髪とかもそんなに濡れてなかった。

あの人が拭いてくれたの?

ぼうっといろんなことを考えていると不意に

「おはよう。」

と声をかけられた。

あたしの体はまた、あたしの意思とは関係なく強張る。


「ごめんごめん…
そんなにびくつかれるとは思っていなかった。」


彼は申し訳なさそうにそう言った。
あたしを怖がらせないように微笑みながら。

そんな風に言われると、あなたが悪いわけじゃないのに…
と言いたくなる。

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