傷だらけの僕等
「俺んちのマンションのゴミ捨て場に倒れてたんだよ。
だから家にあげて、今俺んちで療養中。」

「その子いくつなの?」

「高校生とだけは言ってたけど。はっきりとした年齢は知らない。」

「はぁ!?なんで問いたださないのよ?
もしかしたらただの家出かもしれないじゃない。」

「いや…俺も最初はそう思ったんだけど、全然そんな風に見えないんだよ。
むしろ虐待でも受けてて、それが嫌で逃げてきたんじゃないかって思うくらい。」

「虐待?」

「とにかく彼女のことは名前しか正確な情報を知らないよ。
自分からは基本的に何も話さないし、ていうかそもそも…」

「そもそも…何よ?」

「彼女は話せない。」

「え…?何それ…どういうこと?」

「わざと話さないわけじゃないと思う。
本当に話せない。
というか聴覚に障害があって話せないんじゃなくて、声だけ出ない。」

「つまり…あんたの声は聞こえてるってこと?」

「そう。」


物分かりの良い姉で助かるよ、本当に。

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