傷だらけの僕等
相変わらず先生はあたしを求めてこない。

あたしを殴らない。

モノとして扱わない。

少しずつ…傷が癒えていくのを感じた。



この1ヶ月、先生はあたしに何も聞いてこなかった。

聞きたいこと、山ほどあるだろうに。

ていうか本来なら、早く家帰れよっていうのが当たり前だと思う。

でも、きっと…

先生は頭のどこかで分かってもいるんだと思う。

あたしに帰る家がないってこと。

だから何も言わず置いておいてくれるんだろう。

先生は、あたしの人生において一番優しい人だから。

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