傷だらけの僕等
先生が、あたしの声を聞きたいって思ってるなら、余計…

あたしだって話したい。

自分の声で、今みたいに唇の動きを読み取ってもらうこともなく話したいよ。


「ありがとう。

あたしなんかを拾ってくれて、優しくしてくれて、本当に嬉しかったよ…先生。」


自分の口でそう言えたら…どんなにいいか…。



でも…

あたしの声が戻るってことは、

この場所を…

人生で一番心地の良い場所を…手放すってこと。

< 94 / 317 >

この作品をシェア

pagetop