7時12分。
第一章

私の朝はいつも同じ。
顔を洗い、朝ご飯を食べながらニュースを軽く見る。
占いが始まったら家を出て、自転車で駅まで向かう。
そして、毎朝同じ電車に乗る。
乗る車両も変えないから、いつも乗っている人の顔触れも同じ。

みんな、何で車両変えないのかしら?

なんて考えてみるけど、皆だって私と同じようなことを考えているから。
すべて同じな毎日。
そんな毎日に飽き飽きしていた私に、変化が訪れたのは高校2年生の6月だった。


今日も、7時12分発の電車はきた。
電車のドアが開くのを待つ私の視界の端に、スッと写りこんできた紺色の肩。
いつもは煙草の臭いが少しするサラリーマンのおじさんだったのが、今日は煙草の臭いはしない。
少し横目でみたら、紺色の学ランをきた男の子だった。石鹸の香りも少しする。
見たことがない子だった。
高校は、私の通う高校と同じ市内にあるとこだ。
たしか、頭もいいところだった気もする。
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