kiss me Again
あの日。
今日と同じバイクで
終電に乗り遅れたあたしを
迎えに来てくれた
あの日。
あたしはそうくんにマフラーを貸してあげた。
「マフラー、嫌いなんだよね。」
「そうでもないよ?」
「えぇ!この前と言ってる事ちげぇじゃん!」
あははと二人で笑った。
ねぇ。
このマフラーはあたしの物なのに
そうくんの香水が染み付いてるよ。
だからね
まるで、そうくんからプレゼントされたみたいに
あたしの心は嬉しくなったの。
ザザン…と唸る波飛沫に
あたし達は黙り込んだ。
きっと、お互いに同じ事を思ってる。
脳裏に浮かぶ
香苗の泣き顔――…