kiss me Again
本当…、顔色悪い…。
トイレに来たあたしは
鏡に映る自分に溜め息を漏らした。
夏に焼いた肌は
すっかり色が落ちて真っ白に戻っている。
元々、色白なあたしの肌が
顔色のせいで死人のように見えた。
そうくん、今何してるかな…。
おもむろにポケットから出した小さなハンドタオル。
――今日の朝
バイクで家まで送ってくれたそうくんが言った。
『ねぇ、海音の香水ちょうだい。』
『え?香水…?』
不思議に思いながらも
バックをあさってアトマイザーをそうくんに渡す。
『ありがと。じゃあ、俺のもあげる。』
お互いの手のひらで
お互いの香水を持ったあたし達。
『それで、俺が側に居る事忘れないで。』
そうくんの笑顔が
朝日に溶けて消えた。