kiss me Again
冬にそうくんに貸してあげたマフラーは
もう香水の香りは消えてしまっていた。
だから嬉しかった。
この優しい香りは
もうあたしだけの物。
この香りを吸い込めば
全ての罪が忘れられる気がしたんだ。
だけどさすがにつけて学校に行くと
きっと香苗が気が付くに違いない。
そう思ったあたしは
ハンドタオルに少し、香水を吹き掛けた。
そうくん…。
会いたいよ――…
ハンドタオルを
顔に押し当てたあたしはぎゅっと固く目を瞑る。
その時――…
「…っう!」
急な吐き気に襲われて
あたしは水道の蛇口をひねった。
「…はぁ、はぁ……。」
苦しくて
あたしは上手く呼吸が出来ない。
何、今の――…
まさか……。