kiss me Again



「何か…あった?」


何も話さないあたしに
そうくんが言葉を選びながら口を開く。




何かなかったら
こんなにも悲しくなったりなんかしない。


だけどそんな事言えなくて
あたしは

「何も、ないよ。」
と答えた。




朧月夜。

灰色の夜空が月を隠す。




あたしも
どこかに隠して。


なんて思いながら
あたしは口を開いた。






「色々、考えてたの。」

「…何を…?」

「…未来。」

「……未来?」



あたしは気が付かれないように
お腹にそっと手をあてた。



まだ、自己主張も出来ない命。



ここに、居るよ。

ここに、居るよ。





遠くで
空耳が聞こえる。



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