kiss me Again
清々しい朝の光に誘われるように階段を降りる。
「あら、出掛けるの?」
「うん。すぐ帰って来るけど。」
玄関に行くと
回覧板を持ってサンダルを履いたお母さんに
ちょうど出くわした。
浦吉が来たあの日から
お母さんは『学校は?』と聞いてこなくなった。
お母さんなりに
その意味を解釈してくれたんだと思う。
「お母さん。」
外に出たあたしは
反対方向を歩くお母さんを呼び止めた。
振り返ったお母さんに
「帰って来たら話があるの。」と口を開く。
「わかったわ。気を付けてね。」
「うん。後でね。」
雲一つない蒼い空に
踵を返して歩き出す。
こんなに晴れた気持ちになったのは
思い出せない程
久々だった。