kiss me Again
「妊娠7周目ですね。」
白衣を着た
優しそうなおばあさんがカルテに目を通す。
薬品の匂いが
どこか落ち着かなくてあたしは俯いていた。
「また来週にでも、親御さんといらして下さい。」
「…わかりました。」
お母さんと別れ
あたしは病院へと足を運んだ。
そう、ここは
産婦人科。
風邪や病気なんて滅多にしないあたしには
病院の空気がどうも苦手だった。
診察室を出ると
明らかに服装の違うあたしに
周りの妊婦さん達が視線を向けて来る。
「沖村さん。これ、診察券ね。来週は火曜日に来られるかしら?」
「大丈夫です。」
診察券を持って
あたしはそそくさと逃げるように病院を出た。
早く
この空気から開放されたい。