kiss me Again


そうくんから腕を振りほどき
あたしは見えなくなった香苗を追った。




走って


走って




涙が
後ろへと流れていく。


だけど拭う事もなくただ



あたしは走った。







『田村と、ちゃんと向き合って来い。』


浦吉の言葉が脳裏に浮かぶ。




ねぇ、あたしはまだ間に合うかな。



冷めた世界に
小さな希望はあるかな。





香苗。


ちゃんと話したい。




伝えたいんだよ。








駅が見える。


「ごめんなさい!」

騒がしい駅前に
ぶつかる肩が痛んだ。




どうか
間に合って。










「すいません!」

「ちょっと!君!」



改札を無理矢理通って階段を駆け上がる。




「香苗っ!!」



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