kiss me Again
息が切れる。
苦しいとはまたどこか違くて
心臓が痛い。
胸に手をあて見上げた先に
不安定に揺れる香苗の瞳があった。
「香苗、あたしの話聞いて…?」
切れる息を整えながら
手摺を頼りに階段を上がる。
香苗は見下すようにあたしを見つめていた。
「ずっと…、話そうと思ってたの。」
近付く距離は
縮まる毎に香苗の悲しみが伝わって来て。
あたしは上手く言葉を紡げない。
「ごめんね、香苗…。本当に…」
「やめてよ。」
低い声が響く。
ぶつかった香苗のその視線は
あたしを弱い心を打ち抜いた。
「親友のフリしてあたしの事心の中で笑ってたくせに!!」
駅中に届くような香苗の声は
心の奥底から吹き出した嫌悪感で溢れ
周りの人の視線を集めていた。