kiss me Again
伝わるはずがなかったんだ。
こんなにも罪深いあたしに
許される術などもう一つも残されていない。
「バカにしないで!!」
「香苗……。」
ちょうどよくホームに着いた電車に
香苗は再び階段を上り始めた。
「香苗、待って!」
咄嗟に掴んだ香苗の腕にすがるように
あたしは力を込めた。
「やめて!」
「お願い、話しよ?ちゃんと話したいの!」
電車から降りた人の群れが階段の先に見える。
「やめて!離してよ!」
振り払われた腕に
あたしは体制を崩した。
その拍子に誰かの肩にぶつかり
あたしの視界から香苗が消える。
世界が
ぐらりと歪んで見えた。
「海音!!」
遠くで
そうくんがあたしを呼んでいる声がする。