kiss me Again


それは本当に一瞬の出来事で。


あたしの体はふわりと宙に浮かんで
冷たいコンクリートの階段が
体中を打ち付けた。





スローモーションのように流れる景色。


そこに音は存在してなくて
まるで世界でたった一人ぼっちになったみたい。




だけどそれでいい。


それで構わない。





あたしから
音も色も感覚も


全てを奪って構わないから




どうか、神様。







この

小さな命だけは。







「海音!!」


気が付けば
あたしを抱き抱えるようにして座り込むそうくんが居た。




視界が霞む。



「今、救急車呼ぶから!」


慌てたように震える指でそうくんが携帯を操作する。



< 205 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop