kiss me Again
それは本当に一瞬の出来事で。
あたしの体はふわりと宙に浮かんで
冷たいコンクリートの階段が
体中を打ち付けた。
スローモーションのように流れる景色。
そこに音は存在してなくて
まるで世界でたった一人ぼっちになったみたい。
だけどそれでいい。
それで構わない。
あたしから
音も色も感覚も
全てを奪って構わないから
どうか、神様。
この
小さな命だけは。
「海音!!」
気が付けば
あたしを抱き抱えるようにして座り込むそうくんが居た。
視界が霞む。
「今、救急車呼ぶから!」
慌てたように震える指でそうくんが携帯を操作する。