kiss me Again
時計すら置かれていない病室は
あまりにも静かで
あたしと大輔の隙間を広げていく。
あんなに
近くに居たのに。
今では見知らぬ人のように感じて。
大輔の口から紡がれる言葉を
あたしはただ待つしか出来なかった。
パイプ椅子に座り
手を組んで床を見つめる大輔。
いつも優しく
あたしを包んでくれていた香りが
そこにはあった。
「何で…。」
小さく呟いた大輔に
あたしの鼓動が揺れる。
「何で言わなかった…?子供の事…。」
やっぱり
知ってるんだね…。
少し肌寒い病室に
大輔の溜め息がこぼれ落ちた。
「……わりぃ…。
こんな事、言うつもりじゃなかったんだけど…。」