kiss me Again



空を見上げて
溜め息をついた。

「あーぁ。雨止まないなぁ。」


ここ最近ずっと雨。

だけど天気予報は
まだ梅雨入りだとは発表してなくて。


これのどこが梅雨じゃないと言うのだろうか。





『携帯買わないの?』

ふいに香織の言葉を思い出した。




「携帯か…。」


ポツリと呟いて
濡れた地面に足を踏み出した。


パシャンと水溜まりが音を立てる。



正直、携帯を持たない生活は
今のあたしにはすごく楽だった。


あんな小さな機械で
人と人は繋がりを持つ。



そんなの、どう考えてもおかしい。


あんな物を持つから
人はバカな疑いの心を抱くのだ。





香苗が
そうくんを疑ったように。




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