kiss me Again
古びた壁に
染みの出来た天井。
無駄に大きいベッドは
異常な程にきちんとされていて。
『風邪、ひくから。』
そうくんに手を引かれ
あたし達はこのホテルの門をくぐった。
びしょ濡れで制服姿のあたし達。
一瞬だけ戸惑ったけど
手を離したくなくて。
そうくんと一緒に居られるのなら
あたし達を隠してくれる場所なら
もうどこでもよかったんだ。
窓辺に立ち
騒がしい街のネオンに視線を落とす。
髪の毛からたれる雫があたしの肌を伝ってゆく。
「風邪ひくってば。」
ふいに聞こえた声に振り返ると
バスタオルで頭をふきながら後ろにそうくんが立っていた。
「髪の毛、乾かしな。」
「……うん。」
どこかぎこちない会話は
きっとお互いに
後ろめたさがあるから。