kiss me Again
洗面所で髪の毛を乾かしてベッドのある部屋へ戻ると
そうくんがカップにコーヒーを注いでいた。
「飲む?」
そうくんの問い掛けにあたしは首を横に振る。
「コーヒーは苦くて飲めないの。」
「ぷっ。お子ちゃまじゃん。」
悪戯っぽく笑うそうくんにあたしは少しいじけて見せた。
そんなあたしに
「嘘、嘘。何か頼む?腹減ってない?」
そう言って頭を撫でる優しい手のひら。
あたしの鼓動がとくんと音を立てた。
優しい…なぁ…。
濡れた髪の毛に
長い睫毛。
細く伸びる指先も
そうくんを作る全てが愛しくて。
やっぱり
大好きで仕方なくて。
これ以上
気持ちが大きくなる前にと
あたしは視線をそうくんから逸した。