kiss me Again
『この子、助けて…っ!』
…あれがきっと海音が俺から離れた理由。
海音は一人で苦しんでいたんだ。
誰にも言わず、たった一人で…。
どうして―――…
頭を抱える俺の周りに
揺れる影が出来て
おもむろに顔をあげると
「……そうちゃん…。」
未だ放心状態から抜け出せない香苗がそこに居た。
「……大丈夫か…?」
前のように
優しく手を差し伸べられない。
すると香苗が
床に伏せるように座り込んでしまった。
「……香苗?どうし…。」
「ねぇ、あたしのせい?」
香苗が俺の言葉を遮る。
そして―――…
「ねぇ、海音が階段から落ちたのは
あたしのせい!?」
許しを乞うように
俺にしがみつく香苗。
「最初に裏切ったのは海音じゃない!!
あたしのせいじゃ…あたしのせいじゃないっ!!」