kiss me Again
そんな事
答えてくれる人も居なくて
俺は溜め息混じりに扉から離れた。
その時―――…
ガチャン…ッ!!
香苗のアパートから何かが割れるような音がして
俺の足が止まる。
「…香苗……?」
嫌な予感がした。
そして再び鳴り渡るその音。
俺の不安を掻き立てる。
「香苗!!」
慌てて扉を開け俺が見た先に座り込む香苗は
「……お前…何してんだよ…。」
割れたガラスの破片で手首を切り刻んでいた。
こぼれる涙が
血の滲んだ手首にポタリと落ちる。
血の気が引いた。
香苗は俺から視線を外して再び破片を手首にあてる。
「何してんだよ!止めろって!」
俺は靴のまま慌てて香苗の腕を引く。
足元で
パリンと割れるガラス。