kiss me Again
幸い、発見が早かったせいか
香苗の手首の傷はまだ浅かった。
「止めて!離してよぉっ!」
「…っ香苗!落ち着けって!!」
抵抗する香苗を
俺は必死に押さえる。
だけど手首が痛々しくてあまり力を入れられない。
「止めて…っ!もう放っといて!!」
飛び散るガラスの上で
香苗は泣き叫んで俺を引き離そうとした。
そして―――…
「どうせ海音の所行くんでしょ!?なら早く行けばいいじゃない!
海音もそうちゃんもあたしの事なんて必要ないくせに!!」
そう言って香苗は一段と泣き叫んで
床に伏せてしまった。
『必要ないくせに!!』
香苗の言葉が
俺の心に突き刺さって。
そして思ったんだ。
香苗は
俺が居なきゃダメなんだと。