kiss me Again
それから俺は
自分の家には帰らずに
ほとんどの時間を香苗と一緒に過ごした。
学校は行っていたけど
連絡がある度に早退したり遅刻してた。
一緒に居るって言っても
抱き合う訳でもなく
ただ、同じ時間を共有するだけで。
その間も
相変わらず香苗の母親は帰って来なかった。
そんなある日
香苗の携帯が部屋の隅で鳴り響く。
画面を見た香苗は
「そうちゃん、出て。」
と俺に自分の携帯を差し出してくる。
画面に表示される名前。
「出ないの?」
海音だった。
携帯を持つ手が汗ばんでる。
香苗は微動だにせず
俺を見つめてた。
海音―――…
俺は震える指で
通話ボタンを押した。
「……もしもし。」
愛しい人。
海音を突き放すように。