kiss me Again
「香苗は家に帰ってて。もしかしたらそうくんが帰って来るかもしれない。」
「…でも……。」
震える香苗の手に自分の手を重ねた。
「必ず、連絡するから。信じて。」
そう言って
すぐ側にあったボールペンでメモ帳を破り
走り書きする。
「これ、あたしの番号だから。」
香苗に渡したあたしはカバンを手に
玄関を目指した。
そして―――…
「香苗、ごめんね。裏切ってごめん。」
どうしても
伝えたくて。
「だけどあたし香苗が羨ましかった。
本当に好きな人に巡り逢えた香苗が羨ましかったの。」
香苗は
あたしの唯一の親友だから。
「大好きだよ。香苗。」
ちゃんと
伝えたかった。
涙を落とす香苗に笑顔をこぼして
あたしは玄関を出る。
あの海を目指して。