kiss me Again


しばらく走ったあたしは
薄暗い街灯の下で足を止めた。




「何……泣いてんだ、あたし。」


揺れる視界が
心を濁らせてあたしはその場にしゃがみ込んだ。





あたしに
涙を流す権利なんてない。


だけど
涙は止まらなかった。




泣かないように
ずっと張り詰めてた糸は


プツンといとも簡単に切れて
あたしの涙腺を壊してくれた。


大輔が悪いんじゃない。



悪いのは明らかにあたしなんだ。


大輔の優しさに甘えて
手放す事すら出来なくて





結局あたしは何がしたいんだろう。



あんなにも愛してくれる恋人がいて

分かり合える親友もいる。




なのにあたしの恋は
その二人を裏切ってる。




そんなのが
恋だなんて言えるの?




< 43 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop