kiss me Again
だから正直驚いた。
香苗から聞いたノロケ話で作られたあたしの中のイメージを
彼は見事なまでに裏切ってくれた。
心臓が
痛い。
いや、痛いというよりも
苦しくなった。
愛おしそうに香苗を見つめる優しい瞳
風になびく栗色の髪の毛
声も
香りも
目線も
しなやかで華奢な指が触れるものですら
全てに
あたしは嫉妬したんだ。
自分の中にこんなにも醜い感情があったなんて
初めて知った、高校2年を迎えた春
柳 蒼真
あたしの、欲しい人。