kiss me Again

人込みの中
立ち尽くすあたしとそうくんは

言葉少なめに口を開いた。




「メール…返って来ないから、心配した。」

「…ごめん…ね。」


「電話もした。」


「……うん…ごめん。」



知ってる。


知ってるよ。




だって開かないままの携帯は
着信を知らせるランプがずっと光ってる。


こうして
そうくんと話してる間も
あたしの携帯は切なく光りを放ってる。





「嫌われたかと思ってたよ。」

「……ごめん…ね。」


バカの一つ覚えのように

『ごめんね』と繰り返すあたしを
そうくんはどう感じてるんだろう。




「俺、何か悪い事した?」

「違うの!」


否定しようと顔を上げた先に




悲しく揺れる
そうくんの瞳。




< 72 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop