kiss me Again
人が次々とあたし達4人横切る。
たまにぶつかる肩に
大輔がさり気なくあたしを引き寄せた。
見ないで。
あたしを
他の男と居るあたしを
見ないで。
「海音達、もう一年以上付き合ってるんだよ!」
香苗が自分事のようにそうくんに話す。
「いいなぁ。あたし達も頑張らなきゃ!ね?」
「……あぁ。」
そうくんが
どんな顔をしてるのか
知りたいのに
知りたくなくて。
「大輔、もう行こ!」
「え?お、おい!海音!」
あたしは
逃げるように人込みへと歩き出す。
「海音!」
その呼び掛けに
流れに逆らうように
ゆっくりと振り返ったあたしに
「今年もよろしくね!」
嘘偽りのない
柔らかな香苗の笑顔。
今日、再び
一年の幕が開けた――…