kiss me Again
「海音~。聞いてよぉ!」
「何?また何かあったの?」
まだ朝だというのにうだるような暑い日差しに
あたしはパタパタと下敷きで風を受ける。
「今朝、武くんが他の女の子と歩いてるの見ちゃった……。」
泣き腫らした瞳に
じんわりと雫が浮かび上がる。
どうしてこの子はこうも男を見る目がないのか。
まだ出会ったばかりの香苗に
あたしは疑問だらけだった。
「じゃあ武くんに聞けばいいじゃない。今日一緒に歩いてたの誰?って。」
「そんな事聞けないよぉ!嫌われちゃう…。」
そう言ってタオルを顔に押し当てた香苗は
そのまま泣き出してしまった。
出会って3ヵ月。
もう何度目だろう。
香苗の泣きじゃくる姿を見たのは。