kiss me Again
冷静な頭で
この子は女優になれるんじゃないか。
そう思った。
「ごめん…。話そうと思ってたんだけど…。」
廊下の端で
あたしは戸惑いながら口を開く。
「香苗、今ヒロくんの事ですごい悩んでて…。そんな時、彼氏が出来たなんて言っちゃいけないかなって…。」
ごめん。
本当にごめんね……。
そう言って俯いたあたしは
突然、甘い香水の匂いに包まれた。
「そんな事、気にしないでよ……。」
香苗があたしの肩に腕を回して顔を埋めた。
「あたし、嬉しいよ?」
「香苗……。」
甘い甘い香水。
あたしはこの時の優しい香りを
一生忘れないと思う。