ラベンダー畑に想いを寄せて
「私、雨は嫌いじゃないんです。知っているいつもの景色が、雨によって水墨画みたいに見えて。でも、こんなにザーザーだとお父さん達は大変かな」
大木先生から視線を外し、私はまた外を眺めながらそう言った。
朝早くても、外を歩く人は結構いる。
明るい色の傘をさしている人もいれば、渋い傘をさす人も。
それが水墨画にミスマッチな所も気に入っている。
「雨は鬱陶しい…としか思っていませんでしたが、なるほど、そう考えれば割といいものかもしれませんね」
大木先生はそう言うと、また後で……と部屋を出ていった。
私は先生を信じるしかない。
この雨は、私にとって恵みの雨となって欲しい……。