ラベンダー畑に想いを寄せて




病院内が少しずつ騒がしくなりはじめた頃、いきなり和也が病室を訪れた。








「今日、昼で早退してくる。全部が終わって、ヒロが目を覚ました時に側にいたいから」








和也の肩は、服の色が変わるくらい濡れていた。




足元も裾が重たそうに水を吸っていて、ポタポタ…と床に小さな水溜まりを作っていた。








「雨ひどい中、朝にわざわざ来ることないのに」








どんなにひどい降りだろうと、仕事前のほんの少しの時間でも、来てくれて本当は嬉しいのに、私は可愛くない言葉を、つい言ってしまう。






それは、病気とか関係なく、昔から。




私の可愛くない所。






素直にありがとう…と言えない自分が好きじゃない。













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