ラベンダー畑に想いを寄せて
手術室に行く頃には、和也は会社へと行き、それと入れ替わりに両親が病院へと来てくれていた。
お母さんは私の手をずっと触りながら、落ち着かないように、何かしら喋っていた。
きっと、喋っていないと泣いてしまうのだろう。
お父さんは、時間が来るまで黙って窓の外を眺めていた。
そうする事で、お父さんは自分を落ちつかせているのがわかる。
そんなところが、私はお父さんに似てるんだと改めて思う。
私の体にはお父さんの遺伝子が濃く刻みこまれているのだと。
その遺伝子を私は先の未来に遺したい。
こんな時だから、そう思ったのかもしれないけれど、結婚して子供を産むという、普通の未来を望まずにはいられなかった。