ラヴレス








「キアランはとても素敵だから、パーティーではいつも注目されてた。いつも周りには綺麗な女の人達が居て、とっても人気者だったのよ」

要するにただのスケコマシ、とは言わなかった。
こんなコアは日本語、ソフィアには通じないだろうし、意味を聞かれても困る。


「でも、キアランの中身を見てくれる人は少なかった…かな。自分に近付く人は皆、アナベルトの財産と地位が欲しいだけなんだ、って、キアランはいつも言ってた」

長い睫毛を伏せて憂うソフィアが言わんとしていることを知純は悟る。


(…あぁこりゃ、キアランも幸せ者だわ)

そこにどんな感情があるか知らないが、彼女はキアランを擁護しようとしている。

智純に暴言を吐いたイトコを、必死に庇っているのだ。


「だから、あのね、」

言いにくそうに唇を閉じたソフィアが可笑しくて、智純は小さく吹き出した。

笑われてしまった、とソフィアが頬を赤く染める。

そんなソフィアを見つめながら、智純は笑みを深くした。


「…私、気にしてないよ」

弾かれたようにソフィアが顔を上げる。

まるで小動物のようなくりくりとした目が可愛い。







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