ラヴレス
「ああ、可愛い子だね。あんたとは、兄妹のように育てて貰ったって、そう聞いたよ」
ソフィアは愛らしい。
純粋培養で、気は利くし、無邪気で憎めない。
声を高く上げて笑い声を上げるこどもっぽさがあるせいか、妹を相手にしているようで智純も楽しかった。
「…そうか、」
そこまで口にして、キアランは黙りこくってしまった。
ふ、と意味深な溜め息を吐きながら、目尻はなんとも言い難く緩んでいる。
そこに違和感を感じた智純は、気付かれないように首を捻った。
パチリ、と暖炉のなかの薪が小さく弾ける。
沈黙の中、炎が揺らめく音だけが響いていた。
天井や壁は、旧きに渡り蓄積してきたいい味を醸し出し、しかし嫌味ではない程度に美しく保持されている。
智純はそれを眺めながら、ぼんやりと口を開いた。
「良い家だね」
簡潔すぎる一言だが、智純の性格を考えれば純粋に出た褒め言葉。
唐突に「家」を褒められたキアランは、パソコンからやっと視線を外し、智純を見た。