ラヴレス
「…知純、」
アランに反応がないのを見て、キアランがゆっくりと知純の肩に手を置いた。
邪魔がしたいわけではないが、ずっと寝たきりで、何より昏睡状態から目覚めたばかりで無茶をした叔父が気になる。
本来なら、長年使われなかった脚力に彼の体重を支えるほどの力は残っていない筈だった。
けれど彼は、「陽向」と「知純」の名に反応し、まるで急かされるように、己の脚で立ち上がり、知純に辿り着いたのだ。
そこに込められた想いに、キアランも目頭が熱くなるのを感じる。
―――彼は、アランはずっと、探していたのだ。
「…、ごめん」
キアランの想いを感じ取ったかのように、知純がゆっくりと顔を上げた。
思ったよりも乱れていない顔に、真っ赤に腫れた目玉と涙の跡だけが目立つ。
唇を震わせながら、きっとまだ、心も震わせているのだろう。