ラヴレス










「しかも、なに知らない人と遊んでんの!最近この辺りで変質者が出るってばあさんに注意されたばっかでしょう!」


再び「チイネェ」は爆発した。

しかしこれにはキアランも黙ってはいられなかった。

生まれてこのかた、「変質者」扱いされたことなど一度もないからだ。

顔立ちが気品に溢れているし、立ち居振舞いからして、そんな下劣なものに間違えられるわけもないのだが。

なにより、伝統あるシュナウザー家の正統後継者の自分を「変質者」呼ばわりなんて――と、高くはないが低くもないキアランのプライドを逆撫でした。





「ちょっと待て。君は僕を」
「やかましい!」

誤解している、と続く筈だったキアランの言葉は、「チイネェ」の怒号に無惨にも断ち切られた。


「…あんた、今度うちの子達に手ぇ出したらぶっ殺してやるからね」

どうやら、みさとを抱き上げていたのが悪かったらしい。

完全にキアランを誤解した「チイネェ」は、彼の手から大切なみさとを奪い返した。

「チイネェ」の余りの粗雑な態度に、キアランの目元は苛、と痙攣している。


屈辱である。







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