ラヴレス






産まれた時から確立された地位、様々な成功を掴み取ってきた努力、それらを為し遂げた事実に基づくプライドがなまじ高い分、無茶をしでかしてしまうのだろうと言うことも、この短期間でなんとなく解った。

しかしそれを私欲に使うわけではなく、ただ単純に、自分の大好きな人を喜ばせたい、幸せにしたい、という想いがあるから、暴走してしまう。

言ってしまえばただの馬鹿だが、嫌いになれないのはあまりに人間臭いからだ。

ビジネスでは決してそんな無茶はしないくせに、こと身内のこととなると一杯一杯になって、まるで解決への手段を持たないこどものように暴走する。
しかしなまじ権力やコネがある分、無駄に現実的で卑怯な手法を取って「解決」へと導こうとするのだ。

全く以てタチが悪いが。



「…私は、キアランが嫌いじゃないよ」

好きな人の為になにかしてあげたいと思うのは当然のことだ。
ただ思うだけではなく、己が持つ全てを駆使してそれを叶えようとする姿勢には好感が持てる。







< 249 / 255 >

この作品をシェア

pagetop