ラヴレス
「てんしにも謝ってえええっ…」
みさとは泣きながらそう「チイネェ」に訴えた。
再び自分の話題が湧いて、キアランはみさとの優しさに溜め息を吐く。
祖国で生活をしている心優しく穏やかなイトコが思い出された。
「…解った、ごめん」
「チイネェ」は、サイズの合っていない安全第一のヘルメットを頭を振って後ろにやると、キアランを真っ直ぐに見た。
冷静な目で見れば、キアランが「変質者」ではないことが解る。
途端、バツの悪そうな顔をした「チイネェ」は、それでも視線を逸らさずに謝罪した。
「…すみません。カッとなって、つい」
ぶっきらぼうではあるが、誠意は認めずには居られなかった。
みさとを抱いたまま、ぐんと頭を下げた「チイネェ」は、大真面目に、先程みさとを叱った時と同じくらい真剣に、キアランへ対して謝罪している。
ふたりの関係が気になりつつも、その真摯な態度にキアランは穏やかな笑みを浮かべた。
が、それも長続きしなかった。
「…とか言うと思ったら大間違いだ、この腐れニートが」
「チイネェ」の嫌いなもの、それは。
ニートとシルバーブロンド、であった。