ラヴレス
しかしキアランとジンを突っぱねているところへ、この愛らしいソフィアが飛び込んできたのだ。
『知純が英語を話せるようになれば、一緒にショッピングや旅行に行けるわ!』
…だ、そうだ。
爛々に輝いた瞳で見つめられれば、知純はイエスと言う他なかった。
どうせ暇と言えば暇なのだ。
掃除洗濯給仕…今までしてきた何もかもをここでは使用人として働いている人達がやってくれる。
アランの回復にもまだ時間が掛かるとして、まあ暇潰しにはいいか、と承諾した知純だった。
「ジンにお願いして、私は知純の先生にしてもらったの」
屈託ない笑顔で、ソフィアは知純の腕に頬を寄せた。
なにをそんなに気に入られたのか、知純もキアランも首を傾げたが、ソフィアは純粋に、知純と仲良くなりたいようだ。
「でも、フィーにも仕事があるでしょう?」
毎日のように仕事であちこち飛び回っているキアラン、そんな彼の秘書であるジンははなから除外していたが、まさかソフィアが先生に立候補するとは思っていなかった。
ソフィアはこう見えてフラワーアレンジメントの先生をやっている。
顧客は主にアナベルト・シュナウザー縁の貴族の娘達だ。