ラヴレス
「…ニートじゃない」
バスタオルを巻いただけで、あとは濡れた肌が丸見えだ。
夜とは言え、恥じらいはないのか、とキアランはひたすら腹を立てる。
バスタオル一枚で、こんなに偉そうに仁王立ちしている女性など見たこともない。
「じゃあなにさ?」
キアランの視線にたじろぐことなく、「チィネエ」は怪しい客人を睨み付けた。
「…ほほう」
秘書は既ににキアランの目隠しから解放されており、見目良い主人にここまで警戒心を剥き出しにする女性も珍しい、と見当違いに感心している。
「それはこちらの台詞だ。昼間もそうだったが、君は余りにも隣人に対する態度が悪い。改めろ」
しかもキアランが言い返した。
よほど昼間のことが気に食わなかったらしい。
主人は意外としつこかった。
「あんた隣人じゃないし。大体、こんな時間にうちになんの用?礼儀ってもんを弁えろ、ニート」
「チィネエ」も応戦する。
なんだかとても相性がよろしくない。