ラヴレス











そんな子供らの世話を買って出ているのは、和尚であるじいさん。

そんな和尚は父代わりで、和尚の奥さんに当たるばあさんは、母代わり。

互いにハキハキとしたボケ知らずの健康体で、高齢だというのに寺のお務めと子供達の世話を効率よくこなしている。






『今回の訪問で、シュナウザー氏は各地の養護施設を回り、財政的に苦心している幾つかに援助を申し立てるとの―――』


孤児の「孤」の字も解っていない金持ちが、自身のイメージアップとして子供達を救う為にチャリティに勤しむ。

偽善の安売りなんて、有益だけれど虚しいだけだ。



「ねぇ、ちい姉ちゃん、このスナウザーさんがうちにお金をくれたら、新しい洗濯機を買えるの?」


小学生の無垢な瞳がいじらしい。

最近、洗濯機の調子が悪くて私が苛々しているのを知っているのだ――ごめん。



「…うんまぁ、お金くれたらね」

こんなど田舎の養護施設になんか視察に来るわけもないけれど。

どうせチャリティするなら、収容数も大きい政府公認の大舎制の養護施設にしたほうがよほどニュースになる。







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